3日目

BGM
rain

今日は雨が降っていた。
俺は傘を差し、あの場所へと向かう。

shrine_rain_step

そうして、石段の前で立ち止まった。

今日だって俺は目を背けてしまうのだろう、何を話せるというのか。

恐る恐る一段ずつ登る毎に、ぴちゃりぴちゃりと水溜りを踏みつけ足元は濡れ続け、その冷え切った足先でさえ言い訳にするには十分であった。

・・・

shrine_rain

無意識の生み出した先に足をかけようと試みた際に生じた浮遊感に足をすくわれ、そこで初めて自らの居場所を把握した。そして、垂れ下がっていた頭を持ち上げると、そこにはやはり、彼女がいた。
俺は一度深く瞬きをし、改めてそれを確認すると、あそこへと再び歩き出した。

・・・

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傘を閉じ、彼女の傍らへと腰を下ろす。
次第に強くなる雨音の中、俺はポツリと呟いた。

「きっと傍から見れば、馬鹿なことをしているのだろう。自分自身でさえ目的も見失っている。
それを知るのがずっと怖くて逃げ続けて、どうしようもない。」

「あなたの待ち人はどなたでしょうか。」

「・・・、それに答えるために、少し時間をもらえないだろうか。」

彼女は幾ばくかの沈黙の後、見透かしたかのように優しく応えた。

「分かりました。」

それを聞くと、俺は瞼を閉じて、あの日へと意識を遡らせた。

記憶を辿る