2日目

BGM

今日もまた神社の一段目へと足をかけた。
振り返り、立ち止まり、前に戻るかと迷えば、少しずつ上っていく。

劣化した踏み場は崩れ落ちそうで、その虚しい有様がまざまざと照明されている。

そうして気付けば、俺はようやく最上段まで来てしまったようで、いつものベンチへと、いつものように視線を移していた。

shrine_evening_with_girl

しかし、そこには一人の少女が座っていた。
俺はそれに気づいた瞬間から急に怖くなって、途端に逃げ出してしまいそうにもなって、一歩下がった。
今までの行いは決して何ら覚悟したものではなく、変わらない今日を望んていただけの弱さしかないことを自覚し、あわよくば次の瞬間にこの景色が錯覚だと知れたのなら平静を装い納得することができただろう。

けれども彼女は本物だったようで、俺は散々迷った挙句、彼女のいるベンチへと向かうこととした。

shrine_evening_diagonal

そこは申し分ないほど、きれいに空けられていたにもかかわらず、きまり悪く、ゆっくりと座った。
彼女はこちらに気付いた反応はないようで、ただ遠くどこかを見つめている。
辺りから聞こえてくるのは、カラカラと枯葉が弱く床を転がる音だけであった。

shrine_night_diagonal

辺りは既に暗くなり、ふと隣を見ると、そこにいた彼女の姿は消えていた。

「はぁ。」

今更ながらの徒労から出てきたのは、みっともない、ため息である。
俺は力なく立ち上がると、おそらく帰路と指された方角へと足を引きずっていった。